2012年8月20日から22日にかけて,神奈川県内のパシフィコ横浜にてCEDEC 2012が開催されている。本稿では,開催初日に行われたセッションから「大規模開発のプロジェクト管理 ?ドラゴンクエストXにおけるマネージメント事例?」の模様をレポートしよう。 スクウェア?エニックス 開発部 ドラゴンクエストX デザインセクションマネージャー 荒木竜馬氏 本セッションの講師を務めたのは,スクウェア?エニックス 開発部 ドラゴンクエストX デザインセクションマネージャー 荒木竜馬氏だ。荒木氏は,「ドラゴンクエスト」シリーズや「FINAL FANTASY」シリーズのような,“AAA”と呼ばれる大規模タイトル開発について,他社タイトルにはない魅力や特徴を盛り込むべく,さまざまな職種のプロフェッショナルが集結していること,そして昨今のテクノロジーの進化や専門分野の広がりによって,どうしてもボリュームが増え,開発期間も長引いてしまうことを説明する。 そうなると,開発組織は必然的に大規模化していくわけだが,おおよそ50人以上の組織にはきちんとした枠組みとルールが必要となり,さらに100人を超える組織になると,スタッフ全員のコンセンサスを得るために,効率的なメソッドの導入やチーム運営の工夫が必要になると荒木氏は語る。 氏は,チーム内で意思の共有ができていないことから生じる齟齬や認識違いを未然に防ぐという“リスクヘッジ”こそがマネージャーの仕事であると話し,自身が「」の開発で実際に活用したマネジメント手法と,それにまつわるエピソードなどを披露した。 4つの手法をハイブリッド化した独自のアジャイル開発 荒木氏が採用した手法のうち,最も特徴的なのは,ドラクエ10 RMT,本来,小規模タイトルの開発に適しているとされるアジャイル開発の手法である。この点について荒木氏は,アジャイルを“不確実なものに対する開発手法”と広義的に捉えたと説明。開発したゲームの各コンテンツを実装し,DQ10 RMT,そのプレイフィールをもとに調整しながらクオリティを高めていく過程は,「ドラゴンクエストX」の開発とも親和性が高かったと述べ,さらに「リスクを最小限に抑えながら,不確実なものを“いい感じ”に開発していった」とも話していた。 荒木氏いわく,実際のマネジメントは,以下の4つの手法を組み合わせた,いわばハイブリッドモデルだったのことである。 ■毎日15分のミーティング(スクラム)による進捗の確認
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